指は人間の体の部位でも非常に知覚、痛覚、触覚を感じやすく、神経の通っているところだということはわかります。指にも経穴(ツボ)は存在しますが、そこを刺激することによって健康保持をするという健康法「爪もみ健康法」というものをご存知でしょうか?元々は東洋医学、鍼灸がルーツであるこの健康法について考えます。
刺絡療法がはじまり
元々は鍼灸の分野の「刺絡療法」からヒントを得て、「爪を揉む」というものに辿り着いたのだと思われます。本来の刺絡療法ですと経穴の「井穴」という種類の経穴に鍼を刺して出血させて、瘀血(汚れた血)を出し、自律神経や免疫機能調整を行います。鍼の刺激とは違いますが、「揉む」という方法でも刺激は入るので似たような効果が得られるでしょう。
「井穴」を刺激せよ!
指の爪の生え際に「井穴」という種類の経穴があります。指の爪の生え際だけではないですが、その付近に多く点在する種類の経穴です。六臓六腑ごとに「井穴」は存在しますが、多くが指先に点在しています。
「爪揉み」のやり方としては、
- 爪の生え際の角を逆の手の母指と示指で両側からつまんで揉む。
- 1ヶ所を10秒ほど、場所によっては20秒ほど刺激する。
- 一日、2~3回行う。
指の部位によって対応する症状が異なります。
- 手母指⇒呼吸器系
- 手示指⇒消化、便通
- 手中指⇒精神面
- 手薬指⇒気力を出す
- 手小指⇒血圧調整
などの効果があると言われています。鍼灸師や経穴を勉強している方であれば、五臓に対応していることがわかると思います。
自律神経を整える
この指揉み健康法は「自律神経」を調節するのに良いと言われます。特に現代人はこの「自律神経」が乱れている人が多いと言われていて、体の様々な機能に不調を来たしています。
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」に分かれていて、それぞれで特徴があります。
「交感神経」は活動的な神経と言われ、体を動かしている時や戦闘態勢の時、興奮している時、緊張している時等に優位になるとされています。
一方で「副交感神経」はリラックスモードの際に優位になる神経と言われ、睡眠や体を休めている際等に働く神経です。
これらが乱れると睡眠や便通、食欲、咳、消化、ホルモン・・・等のあらゆる機能に障害を来たし、体調に不調が出てきます。
これらを整えることは非常に大事です。病気や症状が定まらない「何となく不調がある」という際はこの「自律神経」が乱れていることが多く、「不定愁訴」というカテゴリーにその人の体調が分類される場合は「自律神経」を整えることが良いとされています。
鍼灸やマッサージがハードルが高いと思われる方や、わざわざお店に行って施術を受けるのは億劫だと言う方はこの「爪揉み健康法」をお試し下さい。
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